生活相談員になるために必要な資格の中の一つとして、社会福祉士が挙げられています。この社会福祉士とは、高齢者や障害者や子どもなど、日常生活を送る上で、何らかの困難を抱えている人の相談に乗ったり、それぞれに対する適切な助言や指導を行うことによって、個々の生活の質を、少しでも向上できるよう支援するという仕事を担っています。
この社会福祉士は国家資格であり、その取得のためには、いくつかの進路選択の可能性があります。まず福祉系の四年制大学に通い、所定の科目を履修してその課程を修了することです。
あるいは福祉系の短期大学に通い、やはり所定の科目を履修して、その課程を修了した後、実務経験を1年から2年積むことです。ただし必ずしも福祉系の大学などを卒業しなければならないわけではなく、一般の四年制大学を卒業した場合でも、その後に一般養成施設に1年以上通学するか、もしくは一般の短期大学を卒業した後に、実務経験を1年から2年積み、更に一般養成施設に1年以上通学するということでも、資格を取得する前提条件を満たします。
財団法人社会福祉振興・試験センターが実施する、年に一度の社会福祉士国家試験の受験者数は、だいたい4万2,000人から4万5,000人の間で推移していますが、その合格率は30%程度となっており、年々難易度が上っているようです。合格者の男女比率は、平成26年度において、男性の約35%に対して、女性は約65%であり、同じく受験資格別の合格者数は、福祉系大学等の卒業者が7,257人、一方の一般養成施設卒業者が4,924人で、初めから福祉系大学等に進むのではない人の数も、決して少なくないのです。
なお試験内容は、「人体の構造と機能及び疾病」といった医療関係の知識と共に、「心理学理論と心理的支援」、そして「社会理論と社会システム」、「現代社会と福祉」、「地域福祉の理論と方法」、「福祉行財政と福祉計画」、「社会保障」、「低所得者に対する支援と生活保護制度」、「保健医療サービス」といった、幅広く深い福祉行政に関する知識が問われます。
また「権利擁護と成年後見制度」のような法制度や、「社会調査の基礎」、「相談援助の基盤と専門職」、「相談援助の理論と方法」、そして「福祉サービスの組織と経営」といった経営管理に関する知識も求められ、「高齢者に対する支援と介護保険制度」、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」、「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」、「就労支援サービス」、「更生保護制度」のような、実務に直結する知識も問われるなど、実に多岐に渡っています。
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生活相談員として働くための資格要件の中で、もっともハードルが低いのが社会福祉主事任用資格で、これが唯一国家資格ではありません。
生活相談員は幅広い業務をこなしながら介護職員と介護サービスを利用する人の間で架け橋となる役割として利用者をサポートします。
生活相談員が個々の専門知識や能力を活かすことのできる場として、老人福祉施設や身体障害者施設、精神障害者施設などが挙げられますが、中でも少子高齢化が急速に進む現代の日本において、需要が高まっているのが老人福祉施設です。老人福祉施設には、養護老人ホームや特別養護老人ホーム、あるいはデイサービスセンターなどがあり、生活相談員は、それぞれの利用者にとって最適な支援を実現するために欠かすことのできない存在なのです。